「旅する力」 沢木耕太郎 著

 サブタイトルに「深夜特急ノート」とある。「深夜特急」は、旅のバイブルみたいな本で、人によっては、沢木氏を「旅の巨匠」と呼ぶらしい。沢木氏は、偉大な人だから、年上の人にも思えるが、実は、自分と同じ歳であるらしい。氏は、高校生の時に、東北の周遊券を買って「貧乏旅行」をしたらしい。自分も、同じころ北海道の周遊券を買った所までは、沢木氏と同じだったが、自分の方は、事情があって、挫折してしまった。もし、あの時に、北海道へ「貧乏旅行」していたら、ひょっとして、沢木氏と似た運命になったかと、思うと、ちょっぴり残念である。しかし、読んでいて、やはり「沢木氏」にはなれなかったことを痛感した。彼は、大学時代に、日本はほぼ制覇したらしい。自分も、帰省を利用して、西日本はほぼ制覇したものの、根本的な、生活のレベルが違っていたようだ。彼は、自分の才能で、いくつかの仕事をこなし、本を出版して、その「財産」を持って「深夜特急」へ行ったようだ。彼は、自分の旅を「貧乏旅行」と謙遜しているが、彼が大金を持ちながら「貧乏旅行」をしたことは間違いなく、その意味で、本当の「貧乏旅行」とは思えないが、その点を差し引いても「深夜特急」が旅のバイブルであることには、変わりはないだろう。ただし、この本を読んで「深夜特急」の謎が解けたことは間違いない。
 彼によれば、「旅などというものは、定年退職でもしてからゆっくりすればよい、などという考えはうなづけない」
というような意味のことを書いているが、100%その通りだろうと思う。旅には適齢期があって、その年齢にでしか経験しえないものだという。彼は、韓国版「深夜特急」のあとがきで「大事なのは旅に『行く』ことではなく、旅に『行く』過程で何を『感じ』られたかである」と書いている。まあ、自分がやっている海外ツアー旅行などは、邪道とも思えるが、彼は、ベトナムでのツアー旅行を見て、自分も歳になったら、行くのも良いかもしれない、などと、心にもないことを書いている。
 最後に、登山家の山野井氏との話で、日本のサラリーマンがリストラなどで挫折することに対して「問題は予期しないことが起きるということを予期していないところにある」と看破しているが、まさにこのことは、今回の東日本大震災、特に原発事故において、図らずも露呈したことになる。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック