復興天守閣 文明と文化の岐路⑩

 中国では、古代・中世の遺跡を復興復元する試みが盛んであるようだ。日本の場合、平城京の復興は、場所が畑だったから良かったものの、中国の場合、そのほとんどが人の住んでいる場所である。社会主義国家では、土地はすべて国家のものだから、最終的には、そこの住民を別の場所に移住させて、古代の城址を復興する。日本のお城の感覚と違い、中国の(正しく言えば、ユーラシアの)お城は都市を含めるので、スケールも大きい。最大の問題は、その復興の方法である。見た目がそれらしければ、それで良い、という認識なので、方法も乱雑である。世界遺産も含めて、中国はすべての観光地をテーマパークにしつつあるので、「復興遺跡」は100%、テーマパークと考えた方が正しいようだ。これは、国家の「文化」政策の一つとして行われている。しかし、残念ながら中国の方法は、文化に非ず、文明そのものである。国家そのものが文明に立脚しているためなのだろうが、どうも「文化」と「文明」とを取り違えているような気がしてならない。
 日本も中国と並ぶ(もう一つが米国)なので文明大国なので、かつては鉄筋コンクリートの復興天守閣をバシバシ作っていた時期があった。さすがに、最近は、「文化」の意味が少しは分かりかけてきたのか、できる限り元の形、もとの材料で復興するようになってきたようだ。良いのか悪いのかは、微妙な問題だが、伊予の大洲城を見た時には、ドキッとした、というかびっくりした。まあ金閣が世界遺産になったので、その限りにおいては、良かったのかもしれないが、まだまだ違和感があるのも確かである。ちょっと昔の話だが、都知事の候補の一人が、江戸城天守閣の復興を公約に掲げていた。これも、相当に微妙な問題だが、確かに、江戸東京を世界に象徴するこれという景色がないのもさびしい。はっきり言って、スカイツリーなどが、東京の代表的な風景とは思えない。天守閣はあまりにもミーハー的なので、学問的に納得するような江戸の景観を、どこかに復興してほしいとは、秘かに思っている。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック