針ノ木雪渓を下る 針ノ木岳・蓮華岳登攀記⑤

 蓮華岳からの下山開始は7:36で、例のスキップスキップランランランで、快調に飛ばし、8:08に、再び峠へ戻ってきた。峠には、もう一つ平の渡し・五色が原方面、という下りの標識があるのだが、歩いている人はいない様子だった。感じとしては、グランドキャニオンへ下るような感覚ではないかと、ふと思った。そして、いよいよ峠ともおさらばである。8:24に、下降を開始した。この、ジグザク道の下降途中で、5:00に登山口を出た、という人が登ってきた。恐るべきスピードだが、おそらくは日帰り登山なのだろう。例の、最後の水場に下りたのは8:50ごろだった。ここで、のどを潤して、ひたすら、大岩を目指した。ここを越した場所が、レンゲ沢であり、時刻は9:00ごろだった。いよいよ、アイゼンを付けての、下りである。最初の、下りは簡単だった。秋道を歩き、いよいよここからが、本当の、針ノ木大雪渓の下りである。
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下を覗くと、ほとんど絶壁で、ノドから下は、見えてなかった。それでも、ノドあたりは、雪渓の幅が狭いのが幸いして、ルートが分かりやすかった。しかし、ここからは、ほとんど、自力で、下ることになった。初めての、本格的な雪渓下りだが、本当に緊張した。ダブルストックなので、ほとんどスキーと似たような感じなのだが、スキーの方が楽なような気がした。場所によって、かかとを蹴りこんで、下る場合と、アイゼンを利かして下る場合とがあるのだが、実際には、ダブルストックで、体重を維持していることが多くて、脚よりも、両腕で下ってきたような感じだった。正直な話、登りには利用しても、下りには利用したくないような気がした。何とか、秋道に上陸した時は、本当にほっとした。雪渓の上陸部分を整備している、オジサンに、寒かったでしょう、と言われたが、本当は汗びっしょりで、暑かった。かつて、ロサンゼルスの軽飛行機のパイロット席の隣に座った時、エンジンの熱と、緊張の冷や汗で、汗びっしょりになった経験があるが、針ノ木雪渓の下りも、緊張感で、汗びっしょりだった。
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この辺りでは、まだまだ、登山者とすれ違うことも多かった。沢から左岸のほうに上がって、しばらくはトラバース気味の道を下った。上陸してからの方が涼しかったのは、皮肉な話ではあった。
 大沢小屋の到着は、10:25で。峠からほぼ2時間経っていた。行く時には、安全のお祈りをしたのだが、逆の方向だったので、すっかり忘れてしまって、お礼をしそこなってしまった。小屋番の人に、気を付けて、と送り出されたのが10:33だった。例の沢で、針ノ木に挨拶をして、森の道を、アップダウンしながら歩いた。
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こんな場合、知っている道は、見当がつくので、分かりやすい。二つの涸れ沢を越して、もと駐車場へ着いたのが、11:12だった。ここからは、舗装した車道と交差しながら、下るのだが、真中の部分は、どう考えても、登山道よりも、車道を歩く方が楽に思えた。石垣が見えると、最後の車道であり、いよいよ登山道もラストである。扇沢の駅が見えてきたら、ひょっこり、登山口に出た。時刻は、11:28で、下山の所要時間が、3時間14分だった。扇沢で、ソフトクリームを食べ、下山の激闘を、舌で癒した。昔は、下山後のコーヒーが定番だったのだが、ここのところ、ソフトクリームに代わったのは、それだけ、余裕がなくなってきたのかもしれない。扇沢の駐車場は、有料も無料も満車状態で、夏休みの最後の、悪あがきみたいだった。ひと汗流すのに、パンフレットを見たら、薬師の湯があったので、ナビをセットした。高原の空気は爽やかで、窓を開ければ、冷房の必要はなさそうだった。薬師の湯は、安くはないが、登山者が休憩することを、最初から計算に入れたような造りなので、休憩室で、横になっても、他の施設のように、白い目で見られなくて良かった。ここで、信州そばのランチをとり、しばし休憩して、帰途に就いた。小仏が込みそうなので、関越で帰ったが、予想通り、帰りのラジオで、小仏の渋滞を報道していた。ほぼ、明るい時刻に帰ることができて良かった。

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