道-そして希望の朝in八戸市美術館そして種差海岸

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 三陸復興国立公園指定記念特別展として、八戸市美術館で、「道-そして希望の朝in八戸市美術館」と題した、展覧会が開かれていた。たまたま、八戸に旅することが決まって、旅立つ直前に、この展覧会の存在を知って、さっそくプランの中に取り入れた。メインは、東山魁夷の種差海岸を描いた名作「道」を中心としたもので、旅のプランにも、名作の舞台となった種差海岸を取り入れて、見学してきた。
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この名作は、1階に「そして希望の朝」というテーマで、名作に関するスケッチや下図などと共に、展示されていた。その中で、もっとも興味深かったのが、東山38歳の時に、『保健同人』という雑誌の、表紙絵を担当していた時代のものだった。簡単に言えば、童話の挿絵みたいなのどかな作風の絵で、後年の東山の作風とは全く違うものだが、その中に、「鮫灯台大下牧場」と題した、表紙の絵があった。上には燈台が描かれ、中継には牧場の牛たちがのどかに描かれ、絵の株の方に、さりげなく「道」が描かれていた。ここでの「道」はまったくの脇役で、言われなければ、その存在すら気が付かない、という作品だった。今回は、本物は展示されていなかったが、この構図から、牧場を抜いて、灯台と「道」を描いた作品の写真が、参考作品として、展示されていた。灯台がポイントになって、良い作品なのだが、後年の名作「道」と比べると、やはり、名作の方が素晴らしかった。この絵のスケッチが、5枚展示されていたが、その中で、一番に興味を抱いたのが、道路の傍に生えている雑草のスケッチだった。名作「道」では、言われなければ、その雑草の存在には気が付かないが、あの名作を引き立てているのは、まぎれもなく雑草のエメラルドグリーンの存在である。もちろん、「道」が主役だが、この雑草の名脇役なくして、あれは名作には、なりえなかった、と感じた。ちなみに、東山が種差海岸での取材をもとに「道」を描いた時「これから歩いてゆく道と思っているうちに、時としては、今までに辿ってきた道として見ている場合もあった。絶望と希望とが織り交じった道、遍歴の果てでもあり、新しく始まる道でもあった。未来への憧憬の道、また、過去への郷愁を誘う道にもなった」という言葉を残したらしい。
 2階には、「郷愁と再生への願い」というテーマで、作品が並べられていたが、なかでも、千住博の「フラットウォーター♯9」は、正面に掲げられていて、異彩を放っていた。この作品は、氏の出世作とのことだった。とても迫力のある作品で、一見すると、墨と白との抽象画に見えるのだが、よく見ると、絵の左上隅が、普通の海岸の絵であり、全体としては風景画なのだろう。同じ、千住博の「Tidewatert(波・月した)は、これも抽象画みたいな、紺色がきれいな作品だった。自宅に堀本氏の作品があるが、この堀本氏の、初期のころの作品と、イメージがとてもよく似ていた。この会には、土屋禮一の「道」という作品があり、なかなか存在感を発揮していた。同じ土屋禮一の「桜樹」は、滝桜をイメージして描いた作品だが、震災の廃墟に咲いた桜を抱腹させる作品だった。同じ階の、加藤東一の「残照の浜」は、一瞬、ゴーギャンを感じた作品だった。やはり、北海道十勝沖地震の後に描いた作品とのことだった。母子像であり、空の紫色が、印象的だった。
 見る順序としては、3階から見ることになっている。3階のテーマは「鎮魂」だった。岩田壮平の「白-03.11」は、震災そのものを描いた作品である。白一色なのに、むしろ白一色なので、迫力があるのかも、しれない。震災をテーマとした、詩作は、かなり発表されたが、絵画は貴重な作品だと思った。他には、豊島弘尚の「東光」と題した作品が3点あった。一見抽象画、という意味では千住氏の作品に似ているが、抽象が主で、具象がチラリという作品だった。
 八戸市美術館は、こじんまりした美術館なので、作品数は少なかったが、なかなか充実した作品が多く、今という時にしか、感じられないだろう、作品展なので、とても良かった。

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