『哲学の復興』

 昭和47年の、講談社現代新書の一冊である。著者は、梅原猛氏である。「隠された十字架」で有名な著者だが、個人的には、「京都発見」シリーズで、お世話になっている。裏カバーに載っている著者の写真が、余りにも若いのでびっくりした。
 現代が、ヨーロッパ文明の終末期にあることは、うすうす感じているが、中国の躍進と、ぎあいえすの暗躍は、このことと関係あるのだろうか。「現代は、欲望の無限の解放が、どうにもならぬ世界混乱に、人間を追いつめる時代」と書いているのだが、当時の昭和47年よりも、今の平成26年の方が、この言葉の、重みが増しているように感じる。中国といい、ぎあいえすといい、指導者の欲望の塊に見えなくもない。トインビーは、世界を6つの文明に分けたそうである。列挙すると、西洋、西ローマ、ロシア、アラブ、印度、中国+極東である。冒頭の、ヨーロッパ文明が西洋文明であり、これは産業革命以来の、機械文明のことでもある。西洋文明は、人間(とりわけ白人)だけが支配者であり、自然は支配されるという哲学に支配されているらしい。現在のところ、自然のしっぺ返しは、公害という問題と、地球温暖化という二つの問題に表れているようだ。もう一つの、西洋文明の問題は、文明が殺人や戦争というものを、否定していない、ということのようだ。どちらも、人類の将来にとっては、深刻な問題だが、喫緊の感じとしては、後者の問題が、大きいように感じる。20世紀の日本の躍進は、日本が、西洋文明を取り入れたことに、起因しているといわれている。ただし、戦後の日本は、「戦争を否定」した、人類史上珍しい国だった。結局、この幻想が敗れたのが、今回のぎあいえすの日本に対する「宣戦布告」ということになる。中国の経済は、資本主義的な手段を取り入れているので、軽々に、自分のような素人が一口でいうことは難しいが、国の基本が社会主義であることは間違いない。社会主義は、やはり、マルクスやレーニンが育てた考えなので、やはり西洋文明の影響が濃い。梅原は「現代中国をどう見るか」という一章を設けて、中国の将来を省察している。中国は、全ての文化を自給自足した、稀有な国であり、その二つの例外が、仏教と社会主義とのことである。ただ、この二つ共に、「中国化」しているとのこと。当時の梅原の考察によれば、中国はプラスの札をにぎっているかのようであります、と述べているが、ある程度、梅原の考察は正しかったようだ。ただし、社会主義は西洋文明であり、毛沢東も「正義の戦争」を否定していないので、その面においては、中国も、西洋文明の没落の一翼を担っている、と言えなくもないような気がする。
 梅原が提唱しているのは、自然を敵とせず、むしろ自然と共存する東洋の哲学が、21世紀の世界には、必要ではないか、との提唱なのだが、そのような哲学者が現れた、という話を聞かないのが、残念である。今年は、戦後70年の、節目の年でもある。結果論として、日本は「平和憲法」を持ち、「平和国家」のイメージを世界に植え付けてきたのだが、このことは、むしろ未来に向かって、世界をリードする「哲学」にしたいと思う。

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