藤井聡太と少年棋士たち

 藤井聡太の快進撃が29で、止った(その後3連勝)。もともと、有象無象の棋士と戦う予選は、本当の「実力者」であれば、枠抜けは当然なのだから、「実力者」藤井聡太四段にしてみれば、本戦こそが、勝負だ、考えていた。その意味で、藤井聡太が竜王戦本戦1回戦を勝ったのは、連勝のことをを別にしても本当に素晴らしかった。1回戦の対戦相手だった増田四段の、対戦前のコメントが面白かった。正確な表現は覚えていないのだが、中学生棋士が連勝するということは、将棋界が「緩い」とみられるのが悔しい、と言うものだった。そして、増田四段の指摘は、半分は当っているのかもしれないと思う。前にも書いたが、将棋界の十代のプロ棋士が、二人しかいないことの方が、自分的には、衝撃の事実だった。29連勝を阻止した、佐々木五段は、22歳とはいえ、プロになって、足かけ7年目の棋士であり、キャリアから言えば、決して、「新鋭」とも言い切れない実力者(現実に、佐々木五段は、次の竜王戦3回戦を勝ち上がった。)である。ここまで書いてきたところで、囲碁・将棋チャンネルを捻ったら、「第4回グロービス杯世界以後U-20」(世界中の十代の実力者が争う大会、囲碁の世界では、十代の棋士は、すでに世界のトップレベルである)をやっていた。囲碁の世界では、現在は中国が1位、韓国が2位、残念ながら日本は3位と言うのが、現実の実力差である。そして、それ以上に深刻かもしれないのが、中韓の一流棋士は十代である、という事実である。グロービス杯世界以後U-20は、日本主催なので、日本枠が6枠ある。中韓に負けるとはいえ、日本にも十代の囲碁棋士は、うじゃうじゃいる。そんな中で、日本国内の十代の囲碁棋士を6人を選ぶことは、大変なことである。と言うような状況なので、将棋界の十代棋士が2人と言うのは、正直、大変な驚きだった。ちなみに、今年も出場した一力遼七段は、16歳当時、この大会で、世界チャンピオンになり、ものすごい話だったのだが、囲碁界は、メディア対策が下手らしく、全く一般的には騒がれなかった(ついでの話ながら、現在十代の一力七段は、将棋界の竜王戦に相当する、囲碁棋聖戦の最高リーグSリーグで、3連勝を飾り、話は遠いことながら、棋聖戦挑戦のトップを走っていると言える)。
 話しをもとに戻すと、藤井聡太四段は、連勝が止まったので、騒がれることはないのか、と思ったら、NHKの特集をはじめ、次の対局も、新聞やテレビで報道されていたので、まだまだ快進撃の余韻は、強烈のようだ。ただ、メディアが、将棋以外のことを、ちゃらちゃら紹介するのは、いかがなものかとは思う。先日引退した、加藤一二三九段は、藤井聡太の次は順位戦だ、と焚きつけるような話をしていた。将棋界のことは詳しくないのだが、順位戦と言うのは、将棋棋士のステータスの戦い(この戦いのトップが名人)である。そんなわけなので、順位戦最高のAクラスに入って、はじめて、一丁前の一流棋士、ということになる。レジェンドの加藤一二三引退九段は、この順位戦を、無傷で駆け上ったので、神武以来の天才、と言われたらしい。ただ、一部の報道で、加藤一二三九段が、引退に際して、藤井聡太を後継者に指名したみたいなことを、書いているが、それは半分間違いだろう。自分の世代だと、「加藤にらみ」と言った彼の十八番は、現在「ひふみんアイ」と、軽いタッチで言われるらしいが、彼はこのことを、後継者と喜んだだけだと思う。正直なところ、彼の実力は、四段の中では群を抜いているので、四段クラスのC2組では、鎧袖一触、それこそ、連戦連勝は当然だと思う。加藤引退九段が、本当に後継者と名指したのは、自分と同じく、無傷で、A級へ昇級しろ、という叱咤激励が、真相かと思う。そういう意味では、藤井聡太の順位戦は、長い目で、見てみたい(順位戦は、1年に1クラスしか昇級できないので、話が長い)。彼を本気で楽しむのは、やはり本戦で勝つかどうか、で楽しみたい。その意味では、彼がNHK杯本戦で出場するのは、ぜひ楽しみにしたいと思っている。
 タイトルに「少年棋士たち」としたのは、藤井聡太の30連勝を阻止した、佐々木五段が、渡辺竜王と並んで、小学生の将棋名人を、最年少の小四で獲得した、という情報を聞いたからだった。囲碁の世界では、条件が同じ小学生名人を、最年少の小二で獲得した少年が二人いて、そのうちの一人が、現在の井山棋聖六冠である。ダイヤモンドという雑誌で、藤井とこの井山が対談しているらしい。二人が、何を話したのか知らないが、井山のタイトル獲得は16歳だったので、藤井の一番の目標は、このあたりだろう。井山は19歳で名人戦挑戦手合いに登場して、翌年20歳で名人になったのだが、このあたりも、藤井のその次の目標だろうか。最終的には、現在の羽生三冠が達成した、タイトル戦全冠獲得(もちろん、井山も一度経験して、このまま順調に行けば、今年の秋には、再び、七冠への戦いが始まる)が、藤井聡太の正念場だろうから、長い目で楽しみたいものだ。

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