プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光in西美

 美術展には、ぜひ観たい、と競馬で言えば、いれこんで出かける展覧会と、何となく見てみたい、ぐらいの軽い気持ちの展覧会とがあるが、今回の「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」は、どちらかと言えば、後者の方だった。ベラスケスと言えば、世界の絵画ベスト10に入ると思われる「ラス・メニーナス」があり、何度か観たこともあるので、まあ軽い気持ちで、上野公園の桜
画像
が満開の3月26日に出かけた。花見の客が多いので、国立西洋美術館は、思ったほど混雑はしていなかったので、落ち着いて美術鑑賞ができた。
 Ⅰ 芸術 THE ART 1「ファン・マルティネス・モンタニェースの肖像」(ベラスケス) ベラスケスは王の画家であり、画家の王である、と書かれていたが、いかにも「良い肖像画」という印象の絵だった。顔の表情も良いが、黒衣が体のマッスという感じで、凄かった。 6「磔刑のキリストと画家」(スルバラン) 画家の方にスポットが当てられていて、不思議な絵だった。
 Ⅱ 知識 THE KNOWEGE 9「メニッポス」(ベラスケス) メニッポスは哲学者らしいが、描いているのは、どうみても乞食であり、しかし、不思議な存在感のある乞食だった。 13「視覚と嗅覚」(ブリューゲル父、他) 画中画が面白く、いつまでも飽きない絵だった。
 Ⅲ 神話 THE COURT 14「マルス」(ベラスケス) マルスは、戦いの神様である。ただ、ベラスケスのマルスは、神様と言うよりも、実在の格闘士のようでもある。男性の肉体画、という感じの趣で、顔がぼかされているのは、フェルメールの絵でも観ているような感覚だった。(後で、平常展のフェルメールの作品を観て、特に、その感じが強く残った) 15「音楽にくつろぐヴィーナス」(ティツィアーノ) 余すところなく、女性のヌードであり、その外連味の無さが素晴らしかった。何度が観ている絵だが、今回は真珠の首飾りが気になった。 17「アンドロメダを救うペルセウス」(ルーベンス他) 主役は、アンドロメダではなくて、男性のペルセウスがカッコ良くて、良かった。特に、赤いスカートが特に良かった。ちなみに、この作は、ルーベンスの遺作で、ヨルダーンスが加筆したものらしい。 20「巨大な男性頭部」(ビセンテ・カルドゥーチョに帰属) 信じられないような、巨大な頭部の絵である。しかし、全体ではなく、目にピントが合わされていて、巨大な割に、違和感はなかった。
 Ⅳ 宮廷 THE COURT 21「狩猟服姿のフェリペ4世」(ベラスケス) フェリペ4世の、王様らしい肖像画だった。斜めに横切る、銃のラインが絵を引き締めているのと、左下の忠実な猟犬が良かった。(たまたま、電車内で、盲導犬と遭遇し、けなげな忠実ぶりが目に焼きついていて、このイメージが重なった) 26「バリェーカスの少年」(ベラスケス) この絵も、何度が見ているのだが、今回は、隣にファン・バン・デル・アメンの「矮人の肖像」と並べられていたので、ベラスケスの人間性まで感じられて、感動した。少年を、実物の一人の人間の肖像として描かれているのが、素晴らしかった。 27「ジェノヴァの救援」(アントニオ・デ・ベレーダ)チョーの付く大作である。後ろの軍艦が面白かった。 29「ヘラクレスとレルネのヒュドラ」(スルバラン)もう一作、「ヘラクレスとクレタの牡牛」という作品もあり、どちらも、ギリシャ神話の有名な話である。たまたま、ギリシャ旅行の後で、ギリシャ神話をまじめに読んだ印象が強く残っていたので、とても興味深かった。ヒュドラは、日本の神話でいえば、スサノウノミコトに退治される八岐大蛇だと思えば、分かりやすい絵だと思われる。 32「西ゴート王テオドリック」(フェリクス・カステーリョ) 中公新書で「西ゴート王国の遺産」という本を読んだことがあり、テオドリックは、懐かしい名前だった。ただし、彼はほとんどトランプのキングのように描かれていた。
 Ⅴ 風景 THE LANDSCAPE 
画像
34「王太子バルタサール・カルロス騎馬像」(ベラスケス) 今回の展覧会の目玉作品である。写真で見ても、特別の感激はないが、本物は凄かった。何よりも、絵にはオーラがあり、今回の展覧会で、唯一、鳥肌(今回は、主に脛あたりだった)が立った作品だった。何よりも少年の凛凛しさがカッコ良かった。背景の山は、実在の山らしく、存在感があった。 36「聖セラビアの埋葬のある風景」(クロード・ロラン) いかにも、ロランらしい絵で、コロッセオも描かれていた。 40「城のある港湾風景」(パウル・ブリル) 小品で、恐らくは想像の風景がだが、楽しい作品だった。 41「羊飼いの礼拝のある冬景色」(フランシスコ・コリャンテス) 冬の立木が、凄い存在感だった。中には、黒豚や赤ん坊なども描かれていて、ブルーゲルのような雰囲気の作品でもあった。 42「職業組合の行列」(デニス・ファン・アルスロート) 丹念に、行列や見物人を描きこんだ、驚嘆すべき絵なのだが、自分的には、仁和寺展で観た、国宝の曼荼羅図に似た楽しさがあって、とても良かった。
 Ⅵ 静物 THE STILL LIFE 43「食用アザミ、シャロ、ブドウ、アヤメのある静物」(フェリペ・ラミーレス) 静物に、何で死んだ鳥が描かれているのか、不可解だが、他の作品にも数多く描かれていたので、この時代の流行であり、常識だったのだろうと思われる。アザミの存在感が凄かった。 46「花卉」(ヤン・ブリューゲル父) 確か、近くの都美で、ブリューゲル展をやっているはずで、そこから紛れ込んできたような作品だった。八重のカーネーションなどが、丹念に描かれていた。 50「犬と肉の寓話」(パウル・デル・フォス) 愚かな犬が、良く描かれていた。
 Ⅶ 宗教 THE RELIGION 51「東方三博士の礼拝」(ベラスケス) 何を描かせてもそつのないベラスケスだが、こちらは宗教画である。何よりも、マリアが素晴らしく、イエスは、珍しい短髪の凛凛しい少年に描かれていた。三博士の一人は、ネグロイドで、自分の見るところでは、イエスはモンゴロイドに思えるのだが、どうなのだろうか。 56「祝福する救世主」(スルバラン) 異教徒としては、磔刑のイエスなどは、あまり見たくはないものだが、こちらのイエスは、演説しているようにも見えて、右手の表現が、素晴らしかった。
58「聖フランチェスコの法悦」(ヴァン・ダイク) 有名なイタリアの聖人で、手の傷などが描かれていた。髑髏の表現が面白かった。 60「聖アンナのいる聖家族」(ルーベンス) 豊満なマリアのおっぱいが、いかにもルーベンスらしかった。アンナは、珍しく、リアルなおばあちゃんに描かれているのが、珍しかった。 61「小鳥のいる聖家族」(ムリーリョ) せっかくのプラド展なので、ムリーリョを観たかったのだが、最後の最後に観られて良かった。マリアは、とても落ち着いた母親に描かれていて、父ヨセフは、今までに見たことのないカッコイイ、イクメンの感じに描かれていた。イエスだけが、なぜか金髪少年だった。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 3

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック