百名山の呪縛 木曽駒ケ岳 プロローグ

百名山の呪縛 木曽駒ケ岳                   2018/7/13
 プロローグ 木曽駒ケ岳は、青春の山であると同時に、新婚の山であり、今回は3度目のベテランの登山と、相成った。どうやら、山屋には、友人のA氏のように、同じ山を愛し、何度も登るタイプと、できるだけ、多くの山に登る浮気心のタイプとがありそうだが、自分は、後者のほうで、3回登った山は、富士山の他には、記憶がないぐらいである。それはさておき、最初の昭和46年は、超の二乗が付くぐらいの貧乏青年だったのにも関わらず、南は九州の久住山から、アルプスは奥穂高、東北は月山と、足繁く山登りをした中に、木曽駒にも登った記録と、記憶とがあった。そして、宝剣岳に登り、もちろんのこと、木曽駒にも登ったのだが、当時は貴重だった、カラーフィルムに収めた景色が、千畳敷から見上げた宝剣岳の絶景と、天狗岩の奇景だった。天気は素晴らしく、南アルプス連山がずらりと並んだ写真も撮っているが、山名の中に、荒川岳の名前が見えるのは、今ほど、深田百名山の影響が少なかったのかもしれない。2度目は、新婚の年に、アルプス銀座への足慣らしとして、登ったようだ。この時には、ヒメウスユキソウが咲いていたことと、遠くに槍穂高連峰が、雲の上から見えたことが、深く印象に残っている。そして、3度目の木曽駒である。実は、山歴としては、半世紀前の昭和43年に、当時の流行りだった夜光日帰りで、大菩薩に登ったのが百名山のスタートである。以来、2度ほどのブランクがありつつも、平成23年に、丹沢蛭ヶ岳をもって、百名山サミッターになった。それで、万々歳のはずなのだが、新婚の年の木曽駒を、夫婦百名山のスタートとすれば、こちらも、ぜひ達成したい、ということで、逆計算をしてみたら、平成25年の白馬岳再訪が、100番目のカウントになっていた。それで、百名山の呪縛からは、解き放たれていたのかと思ったら、登山記のない百名山が、3山残っていた。しかし、ここ2年ばかりは、体調のほうが、登山にはなかなか間に合わず、今年、平成30年になって、近所のお散歩から、いきなりの、百名山にチャレンジすることになったのが、今回の木曽駒だった。若き日の定番は、夜光日帰りだが、ベテラン登山者となった現在は、前後泊日帰り、もしくは、それに加えて、山上1泊というゆるい計画をすることになっている。今年は、奇跡的に梅雨明けが早く、天気予報とにらめっこしながら、チャンスをうかがっていた。6月12日は晴れ、との予報が出て、宝剣山荘に電話を入れたら、なぜか、つながらなかった。念のために、もう一度、NHKの天気予報を聞いてみたら、午後からは、雷雨の可能性がある、との話だった。つい、頭に浮かんだのが、平成20年に、聖・光縦走下山後に聞いた、中アでの、落雷事故のニュースだった。急に怖くなり、前泊日帰りに、予定を変更して、駒ケ根高原の、リゾートホテルに予約を入れた。禁煙室はなかったが、緊急事態ということで、前日、6月12日に、ホテルに泊まったのだが、これは大正解だった。実は、このホテルは、2度目だったのだが、岐阜旅行の帰りに、泊まるだけの利用だったので、食事をとらなかった。今回は、朝の、早いことを考慮して、夕食付のプランを頼んだ。ビュッフェスタイルには、前回の北海道では、最悪だったのだが、こちらは、とてもおいしくて、逆転満塁Hみたいなおいしさだった。旅行記ではないので、省くが、とにかく美味しかった。夕方は夕立が降ったが、夜中には、星も見えていた。
 登山の日 登山前日の土砂降りは、何度か経験があるが、夕食時には、まるで滝のような夕立が降っていた。全国的にも、西日本豪雨の直後で、精神的にも、やや後ろめたさはあったのだが、東日本大震災後には、毎年応援旅行に行っているので、気持ちを切り替えて、登ることにした。これは、下山後に、ケーブルカーの係りの人に伺ったのだが、前日は、雨が降ったり止んだりで、大変だったが、本日は良かった、と話されていたので、結果的に、我々の、前泊日帰り作戦は、この時点では、大成功だったことになる。木曽駒のネックは、ロープウエイである。ロープウエイは、楽ちん登山で良いのだが、スタートが遅いのが玉に瑕というわけだ。前日、菅ノ台バスセンターで、時間(13日までは、シーズオフで、8:00発)を確認し、ホテル前の駒が池バス停から、往復のチケットをゲットして、この日に備えた。駒が池7:11のバスは、半分ほどの席が埋まっていて、次の菅ノ台バスセンターには、積み残しが出るほどの、盛況だった。しらび平までの林道は、ドライバーが、ハンドルをブルンブルンと回すほどの、酷道だが、ひたすらに耐えて、30分ほどで、見覚えのあるしらび平に着いた。そのまま、列に並んで、何とか8:00の始発ロープウエイに乗ることができた。まずはトイレを済ませて、目の前にある駒ケ岳神社に、登山の安全と成功をお祈りして、歩き出したのが8:20だった。いきなりの、高山植物の世界に入り込んで、すっかり感動した。
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まずはお馴染みの、黄色いキンポウゲだったが、すぐに草むらの中に、目立たないクロユリ
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を発見して、さらにヒートアップした。クロユリは、何度か見たことはあるが、けっこう山の奥、というイメージが強かったので、こんなに里くさいところに咲いているのは、植物園を除けば、珍しいのではないだろうか。その他では、これもお馴染みの赤紫のイワカガミ
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の他、秋には、真っ赤に染まるに違いないナナカマドの白い花、赤ん坊のようなコバイケイソウの花など、100%高山の世界だった。わが国では、涸沢の高山紅葉が、有名だが、ほぼ同等の高山紅葉が見られるとしたら、少々のロープウエイの混雑(しらび平の行列で聞いた話だと、登り2時間待ち、下り3時間待ち)も、仕方がないだろうと思った。さて、10分も歩くと、遊歩道とはお別れして、いよいよ本格的な登山道に入った。
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最近は、外国人登山者も多いらしく、観光案内にある登山地図も、日本語よりも、外国語のほうが目立つぐらいなのだが、登山道は、実によく整備されていた。整備され過ぎた登山道は、白山のように、逆に歩きにくいこともあるのだが、こちらの登山道は、違和感がなく、とても歩きやすかった。すぐに、八丁坂と呼ばれる急登になるのだが、黄色いキンポウゲと並んで、今度は、真っ白なハクサンイチゲ
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がそろい踏みしている、花の斜面があって、登るのを忘れて、色々と、写真を撮りまくった。中には、同じ黄色でも、より大ぶりな、シナノキンバイや、逆に小ぶりな、オオバキスミレもあった。別格の黄色で、大好きなウサギギクを見つけた時には、思わず黄色い声が出てしまったが、結局はこの一輪だけで、写真を取り損ねてしまった。さて、八丁坂はいよいよ厳しくなり、脚も重くなるが、昨年の今頃は、家から一歩も歩けなかったことを思えば、嘘みたいなので、神様に感謝しなくてはいけない、などと思いながら、淡々と登った。昔は、若い人に抜かれることはあっても、普通のスピードで、登れたはずだが、今回だけは、抜かされることはあっても、歩いて抜くことは、ほとんどなかった。

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