アカヤシオ満開の両神山

アカヤシオ満開の両神山                令和(2019)元年5/16
 アカヤシオと両神山の因縁は、3度目になる。最初に両神山登山を計画したのは、新婚2年目のGWだった。当時の記録には、「ヤシオツツジの咲く両神山へ上る予定だった」のだが、国分寺から、西武秩父まで出たものの、予定していたバスには間に合わず、慌てて予定を変更して、雲取山に登った。アカヤシオツツジ&両神山へのリベンジを果たしたのは、それから10年以上経った昭和61年5月13日のことだった。麓でのニリンソウ群落の写真と、アカヤシオの咲く山頂での記念写真が残されているが、山頂はガスがかかっていて、展望はなかった、と記憶している。当時は、既にマイカー登山の時代だった。登山のコースは、日向大谷コースを歩いたようだ。今回、もう一度、両神山にチャレンジしたのには、二つのモチベーションがあった。一つは、百名山バッジの残り一つが、両神山のバッジであったこと。もう一つは、両神山の登山記がないことだった。そして、平成をまたいで、今回の両神山登山となった。コースは、文句なく、白井差コースとなった。というのも、最短であることと、このコースの記念に、山バッジがもらえることが、判明したからだった。GWは避けて、アカヤシオの咲くタイミングを計ったのだが、なかなか開花のニュースを聞かなかった。やきもちしているうちに、5月15日に、アカヤシオ満開の報を知った。「善は急げ」で、後泊の宿を確認してから、白井差コースの管理者である、山中氏宅に電話を入れた。朝の6~7時という約束で、計画を立てた。秩父は、ホームグラウンドぐらいドライブ経験はあるので、4時に出発する、ということにした。一番の問題は、体力だった。準備としては、散歩ぐらいのもので、はっきり言って、体力不足を心配していた。もう一つの心配は、早朝発なので、登るだけでも大変なのに、大丈夫か、ということだった。客観的にみると、前日は珍しく、昼寝(うたた寝)をしたらしかった。そのことがプラスしたのか、マイナスしたのかは分からないのだが、結局は、ほとんど寝付けなくて、出発した。まだ、夜は明けていなかったが、ドライブには問題のない明るさだった。国道299号かはら正丸トンネルで秩父に入るルートだが、久しぶりなので、若干の新道ができたようだった。ナビは、両神山キャンプ場に設定した。いつもの秩父入りの「定石」通りに、芦ヶ久保果樹園道の駅で、休憩したのだが、その直前に、驚くべき光景を目にした。谷間から覗いた、武甲山の風景が、マチュピチュにそっくりだったからだ。例の岩肌が、ちょうど遺跡のような感じに、ガスが漂う中に見えていて、びっくりしてしまった。秩父の街中は、299号国道に沿って横断し、小鹿野で左折したのだが、ナビは、秩父で左折して31号国道を走り、三峰口から右折ルートを案内したらしかった。ともかく、367号県道に入ると、すっかり山間の道だが、すぐに、セツブンソウ自生地の駐車場を通過した。このあたりまでは、出発してから、2時間ちょっとぐらいかと記憶している。山中氏宅に着いたのは、6:40ぐらいだった。すぐに、奥様が現れて、ピストンで帰ること、登山道の整備費(1000円)は、帰りに渡すことを確認して、地図を渡された。簡単なコースのレクチャーを受けて、いよいよ登山の準備にかかった。情報では、前日に団体さんが登頂して、アカヤシオはきれいに咲いていたこと。この日は、我々の他には、女性が一人だけ、登山する、ということだった。
 登山口をスタートしたのは、7:00だった。少し、肌寒いぐらいだったので、上着を着て、ダブルストックのいでたちだった。しばらくは、砂利道の林道を進み、橋を渡ると、いよいよ、本格的な山道になった。しばらくは、渓谷沿いの道なのだが、この渓谷が、抜群に良かった。世の中に、有名な渓谷は多いが、ロックガーデンとしては、岩のスケールが大きくて、水量がやや少ないことを除けば、文句なしに良かった。すぐに、立派な滝があった(7:18)。
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道中に、昇竜の滝があることは知っていたが、あまりにもあっさり現れたので、ダミーかと、思ったぐらいだった。古今東西、滝を越すのは、大変なのだが、昇竜の滝も、遠くに巻くのだが、結構な急こう配だった。上からの滝も、すっきりして良い滝だったが、驚いたのは、我々が見たのは、下の滝で、上にも立派な滝が隠れていた。しばらくは、渓谷沿いに登ったのだが、新緑がまぶしいぐらいに美しかった。7:42にやまびこ橋を通過した。登山道には、様々な橋があるのだが、ほとんどがお手製の橋で、ちょっと見には、危ないようにも思えるのだが、丁寧に補修されていて、危険なことは、一度もなかった。オオドリ河原というポイントに、7:53に着いたのだが、ここまでは、順調な、足の運びだった。面白いと思ったのは、谷の底に、樹が一杯生えているのだが、どの樹も、背伸び競争をしたらしく、ものすごくスリムでノッポな樹々たちだった。やがて、登山道が谷筋から尾根筋に変わり、水晶坂というところに差し掛かった。
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見るからに、急登で、坂には、岩の根ならぬ、木の根が横になっているのが、見えていた。植生がやや変わってきて、ブナの樹があるな、と思ったら、ブナ平だった(8:35)。ここで、初めて小休憩をした。このあたりまで、天気は上々で、木洩れ日が心地よかった。さらに登っていくと、樹間から岸壁が見えてきた。良く目を凝らすと、ピンクの色も確認できたので、どうやら、アカヤシオの花が咲いているようだった。足元にも、ピンクの花びらが落ちていたのだが、こちらは、山桜の花びらで、標高が上がるにつれて、咲き残りも目立つようになってきた。
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場所によっては、桜とツツジとが共演しているような、豪華さだった。すぐ上の、夢見平には、8:48に着いたのだが、ネーミングのように、景色が素晴らしく、うっとりするような場所だった。
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さらに登ると、標高が高いのか、コバイケイソウの群落も見えていて、この中をジグザグに登って行ったが、残念ながら、当たり年ではないらしく、花もつぼみも見当たらなかった。
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やがて、ひょっこりと、作業道に出た。合流地点には、初めて、山頂への立派な標識(これまでも、標識はあったが、あくまで山中氏作成の手作り標識)が現れた。と同時に、行く手に、ピンク色のアカヤシオの花が、目に飛び込んできた。一般道へ寄らないと、アカヤシオの大群は、見られないのか、と心配していたのだが、杞憂だった。花は、日向の花は色が淡く、日陰の花は、色が濃く、とても素敵だった。やがて、噂のトラロープを通過すると、いよいよ山頂は近く、このあたりは、びっしりと満開のアカヤシオが咲いていて、夢中で、写真を撮った。
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登山者は、途中で2人、山頂に1人いただけで、アカヤシオの満開は、ほぼ我々の二人占めだった。百名山の山で、これほどの満開に遭遇したのは、宮之浦岳の屋久島シャクナゲぐらいで、感激も大感激、筆舌には尽くせないほどの、大感激だった。天気が違うとは言え、前にも見たはずなので、この違いは、人生を長く経験した人の感覚の成長の証かと思えた。
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アカヤシオの咲く山頂に着いたのは、ほぼ10:00だった。
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山中氏制作の地図には、登りは、速い人で1時間半、遅い人で3時間と書かれていたが、我々は、ギリチョンで、間に合ったことになる。そもそも、白井差コースは、あまりにも初心者コースと吹聴され過ぎていて、誰でも楽に、両神山へ登れるように思うが、標高差は900m近くあるそうなので、歩きやすさとは別に、それなりの体力が必要である。前にも書いたが、準備は、散歩だけだったので、慎重に登って行った。ふくらはぎや、裏の太ももの筋肉は、何とか耐えていたが、膝に近い、表側の筋肉に、今まで経験したことのない、負荷感を感じた。頂上が近くなってからは、筋肉よりも、筋に近い辺りに、痛みを感じたので、最後は、必死の登山だった。幸いなことに、ほぼ登り終えていたこと、下りや水平歩行には、ほとんど違和感がなかったので、事なきを得た。頂上には、1時間ばかりいた。天気は、基本は曇りで、残念ながら展望には乏しかったが、雲間から、展望台の方角から判断すると、残雪の南アルプスが、何とか見ることができてよかった。
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アカヤシオや新緑とは別に、木肌が白い樹木が、中景に見えていて、なかなか幻想的だったのも良かった。
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狭い山頂だったが、人が少なかったので、何とか恒例の、昼食をとることができた。頂上では、スケッチを2枚して、可憐なアカヤシオの花を瞼に焼き付けてから、下山にかかった。今月号の「山と渓谷」誌によれば、日本の岩稜コースのベスト20ぐらいが出ていて、その中に、両神山も出ていた。もちろん、我々のコースとは別だが、それでも、山頂だけは「岩稜」であり、ちょっとした岩登りになっている。この岩稜を慎重に下ると、例のトラロープに出るのだが、時間もあるので、ほんの横道に入ってみた。そこには、テーブルとベンチがあり、周りは、100%アカヤシオツツジの花びらだった。
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史上最高のベンチだと思って、しばらく至福のひと時を過ごした。そして、名残尽きないが、下山を開始した(山頂の下山開始は、11:10)。山道は、登りよりも、下りの方が、傾斜がきつく感じる。こんな、急斜面を登ってきたのだ、と半ば、自分に感心しながら、下って行った。途中、唯一の登山者(女性の単独登山者)と遭遇して、エールを交換して、さらに下り続けた。コースは同じなので、別段のことはないのだが、途中で、コースの山林を管理する、山中氏親子と、出会った。危険な枯れ木を、伐採していた様子だったが、やや遠かったので、簡単な挨拶だけを交した。途中に、岩魚がいないかと探したが、残念ながら、はっきりしたものは、確認できなかった。滝が見えてくれば、ゴールは間近である。林道に戻り、駐車場に着いたのは、13:15だったが、道草もあったので、そんなものかと思った。多少の、膝のガクガク感はあったが、思ったほどの、疲労感が無くてよかった。山中宅で、地図を返し、整備費を支払い、待望の、両神山バッチを、土産にいただいた。待望の「百名山バッジ達成」である。万々歳である。これにて、「両神山登山記」が完成したので、残りオンリーワンは、日光白根山の登山記になった。

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