十戒

 十戒と言うのは、自分の世代にとっては、チャールトン・ヘストンの映画を連想する。もちろん、十戒は、モーゼの十戒である。キリスト教の開祖がイエスであるとすれば、キリスト教の兄貴分であるユダヤ教の「開祖」にもあたるのが、モーゼである。そして、唯一神3兄弟の末弟が、イスラム教である。したがって、これら仲の悪い、唯一神3兄弟が、共通して尊敬しているのがモーゼであり、当然、モーゼの「十戒」は、教えの根本にある。ぎあいえすが、かくもあのように、信じられない残酷なことができるのか、というヒントは、この「十戒」にあるような気がする。紹介してみる。
 一、汝我面の前に我の他何物も神とすべからず。
 二、汝自己のために何の偶像も彫むべからず。
 三、汝の神エホバの名を妄に口にあぐべからず。
 四、安息日を憶えてこれを聖潔すべし。
 五、汝の父母を敬え。
 六、汝殺すなかれ。
 七、汝姦淫すべからず。
 八、汝盗むなかれ。
 九、汝その隣人に対して、虚妄の証拠をたつるなかれ。
 十、汝その隣人の家を貪るなかれ。
 この指摘は、梅原猛の著書で知ったのだが、「汝殺すなかれ」が6番目の教えで、「安息日」を守ることよりも、低位であるとの指摘である。唯一神はエホバ=ゴット=アラーなので、そのように読み替えれば、そうなのか、と違和感はあるが、「思ってしまう」。実は、もっと恐ろしい指摘があり、モーゼ十戒の「殺すなかれ」の対象は、エホバの民であり、異教徒は、この対象ですらない可能性があるとのこと。

 十戒は仏教にもある。
 不殺生戒(すべての生きとし生けるものを殺してはいけない)
 不偸盗戒(盗みをしてはならない)
 不邪淫戒(みだらなことはしてはいけない)
 不妄語戒(うそをついてはならない)
 不綺語戒(ことばをかざってはいけない)
 不悪口戒(人の悪口をいってはいけない)
 不両舌戒(二枚舌をつかってはならない)
 不貪欲戒(むさぼってはならない)
 不瞋恚戒(まちがった考えを持ってはいけない)
 不邪見戒(まちがった考えをもってはいけない)
「仏教徒」であるはずの、自分を含む日本人のほとんどが、あまり知らない仏教の「十戒」ではあるが、根幹とする教えそのものは、脈々と知らず知らずのうちに、身についているようにも思える。(最近、日本で、理不尽な殺人が起こるが、これはこのような宗教心の伝統が、途絶えがちになりつつあるのだろうか)仏教の、一神教との違いは、殺してはならない対象が、人以外の、「生きとし生けるもの」である点である。モーゼの十戒とは、同じような戒めもあるが、根本のところは、ずいぶんと違うものに思える。自分にとっても、この二つの十戒の違いは、文化文明の溝の深さを思い知ることとなった。(梅原猛の著書とは「哲学の復興」)

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