憧れのプレーケストーレンへ ノルウェーとことこ峡湾ハイキング②

 二日目(7月10日) 天気は、晴れだった。ホテルの周りを軽く散歩して、トレッキングに備えたところまでは、上首尾だった。8:30にホテルを出発、すぐにバスごとフェリーに乗り込み、8:40に、対岸のタウ港へ着いた。船中からは、瀬戸内海のような景色を眺めたのだが、ノルウェーは、小さな国(人口的な意味)にも関わらず、島にも家が沢山見えていた(ガイドのDさんも島在住)。DSC08400フェリー.JPGしばらく、海沿いの道を走り、町を一つ、村を一つ走り抜けてから、山道に入った。山道に入り、海抜270mにある、プレケストールヒュッテのある登山基地までは、すぐだった(10:15)。
プレーケストーレンの登山口は、Revsvatnet湖畔にあり、山小屋、駐車場、売店、キャンプ場などがあって、結構華やかな感じがした。ハイキングに先立って、Dさんが、ルートの立体ルートの図を見ながら、説明してくれた。DSC08408断面図.JPGほとんどが登り道で、標高差は300mぐらい登る、との説明だった。三つの坂があり、途中には沼や、水泳もできる湖もある、と言って、笑わせていた。出発は、10:25だった。車道の下をくぐり、いきなり第一の坂が始まった。団体登山は、最初の方が、楽だろうと常識的な判断をして、Dさんに着いていったが、結果的には、重大な判断ミスだった。D氏は、長躯快速の主で、快調に幅の広い砂利道を駆け上がって行った。やがて、岩も混じる、通常の登山道になったが、快速は、相変わらずだった。登りきったところが、休憩の第一ポイントで、直下に、登山口の駐車場が見えていた。DSC08409第一P.JPGここまで、約10分、休憩も10分という、我々の、個人登山とは、まるで、異質の登山ペースだった。登山道は、ネパールのシェルパの人たちが、2013年に整備したそうで、自分の表現によれば、ワイルド遊歩道、とでも表現したくなるような、登山道だった。このような、整備された登山道は、白山を思い出すが、ノルウェーの山道は、一枚岩も多いので、天気が悪い時には、難儀しそうに思った。初めの方は、林間のルートで、右側の森の向こうに、湖が見えるので、本州最東端の魹ヶ崎のトレッキングルートにも、似ているような気がした。第2ポイントの到着は、10:52だったので、相変わらず、快速で飛ばして、10分休むというペースだった。ここのポイントからは、はるか広大な景色が見えて、フィヨルド越しに、スタヴァンゲルの街まで、見えていた。DSC08411第二P〇アップ.JPG着いて行けたのは、この辺りまで、だった。第二の坂を登る時には、どんどんと抜かれて行って、いつの間にか、最後尾を登っていた。途中に、尾瀬のような木道があることは、知っていたが、なるほど、遠目には、周りが湿原で、真ん中に木道なので、尾瀬そっくりなのだが、実際に歩くと、木道は、横板が並べられているので、広くできていた。DSC08414尾瀬.JPG今回は、ダブルストックを1組だけ持ってきたのだが、これはまあまあ、正解だった。木道は、3回ぐらいあった。そこを渡り切ると、いよいよ、第三の坂で、これが一番の急登だった。大げさに言えば、意識朦朧みたいな感じで、最後は、手すりに持たれながら、縋りつくように一歩一歩登った。みんなが、上で、笑っている、と言われたが、格好をつける余裕はなく、祈るような気持ちで、這い上がった。ここからしばらくは、軽いアップダウンを繰り返す道で、景色も良かったが、楽しむ余裕がなかったのが、残念無念である。何度か、小さい登りを登ると、一枚岩の大きく開けたところがあり、峠のような感じだった。DSC08416峠〇.JPG峠の向こう側には、U字の谷があり、谷を左手にして、しばらくは、軽く尾根道を進む感じだった。距離的には、まだまだだったが、精神的に、峠まで来たので、楽になったはずなのだが、体調は、絶不調だった。ついに、ドクターストップならぬ、M子ストップがかかりそうになったのだが、ここまで来て、たどり着かないのは、余りにも「悲しい」と、駄々をこねて、先に進むことにした。本音は書きたくないのだが、軽い荷物すら、負担になるほどの絶不調で、情けないことに、荷物を「おんぶにだっこ」してもらった。峠からも、軽いアップダウンがあり、登りが、まるで、無酸素でエベレストに登っているような、つらさだった。そのうちに、一枚岩の小さなコブの上から、満々と水をたたえた湖(水泳ができるという湖)が、見えていた。DSC08417プール.JPGもう一度、M子ストップがかかりそうになった。(実は、不整脈が出ていた)
湖までは、下りだけど、帰りは登りよ、という、適切なアドバイスだったが、ここも、勇気を振り絞って、下った。湖を過ぎると、もう一度一枚岩の開けた場所があり、ここからは、いよいよ谷に沿った、トラバースの崖っぷち道になった。自分そのものが、行くかとどまるかの「崖っぷち」だが、しゃれにもならない。この道は、軽いアップダウンなのだが、このわずかな登りが、言葉にできないぐらいつらかった。それでも、何とか頑張ることができた。頑張れた理由の一つに、行きのフライトで見た、映画の、「こんな夜中に、バナナかよ」の鹿野氏のことがあった。筋ジスの病魔に侵されながらも、人生を見事に疾走した感のある、鹿野氏のことを思えば、健常者の自分としては、何としても、頑張らなくてはないない、という気持ちにさせられた。病気などで、つらい時には、神様・仏様、お母さまなどに、お願いをするのだが、今回も、辛かったので、六根清浄の言葉と共に、必死にお祈りもした。そして、もう一つ、気持ちを、慰めてくれたのは、道路標識にある、数字だった。トレイル全体は、4㎞なのだが、最後の方は、50m刻みの標識になっていて、励みになった。やがて、甲斐あって、フィヨルドの海と崖が見えてきた。DSC08424.JPG崖の近くに行くと、吸い込まれそうなので、出来るだけ、崖寄りを、岩にすがりながら、前進した。話では、三つの坂道しか、説明はなかったのだが、実は、最後には、地獄の坂が、待っていた。傾斜は、実に緩いのだが、巨大な一枚岩の岩盤を、ゆっくりと登るのに、永遠の坂道のようにも思えた。最後の標識は、残り150mだった。ここで、一休みすると、目の前に、明らかに、目的地である巨大な岩プレーケストーレン(一辺が25mの巨大サイコロのような巨岩)が見えてきて、ゴールだと知った。DSC08425.JPG時刻は、丁度の13:00だったので、予定を遅れること5分、2時間30分の予定には、たったの5分しか遅れなかったのだが、たったの5分ではあっても、されどの5分だった。このわずかな5分が、自分的には、無限に近いようにも、思った。

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